独自ドメインが無くても、Webサイトやブログを公開することは、もちろん可能です。わざわざ、お金を払って独自ドメインを取得して、いったい何のメリットがあるのでしょうか?
この記事では、長年、独自ドメインを取得せずに自分のWebサイトを公開してきた経験を通じ、独自ドメインを取得するに至った経緯と、独自ドメインの取得方法、設定方法について説明します。
結論から言いますと、取るべきと考えます。
ビジネス用途のサイトであれば必須だとは思いますが、個人の趣味レベルのサイトであっても同じ考えです。
以降で出てきますが、自分のサイトを借り物のURLのまま放置してきたことが招いた思いがけない事態と、その後の苦労について知っていただくと、ご理解いただけると思います。
新たに独自ドメインを取得される場合、「.com」 や「.net」など、ドメイン※として一般的であるとされ、ネット上で認知されているものとの組み合わせの方ががよいと思います。
※:トップレベルドメイン、または
「.co.jp」などの属性+トップレベルドメイン
近年に追加された新しいドメインは、怪しいサイトとして警戒される傾向が、まだ多少なりともあるようです。またこれらは、無料~数円といった格安で購入できることが多いのですが、2年目以降のドメイン更新料は「.com」などと、さほどの違いはありません。
よって、購入価格が多少高くなったとしても、独自ドメインはネット上で認知されているドメインとの組み合わせにより取得されることをおすすめします。
2. 独自ドメインの有無で何が違うのか
自身のサイトを公開する場合、自分でWebサーバーを立ち上げて運用するケースを除き、レンタルサーバーを利用することになります。
レンタルサーバーには、
”serverA.com”などの
レンタルサーバーのドメインがあり、利用する側は、
“hogehoge”などの
サブドメインを決定することにより、サイトのURLが決まります。
例えるなら、アパートの住所がレンタルサーバーのドメインであり、部屋番号がサブドメインと言ったところです。アパートの住所と部屋番号により、そこに住んでいる人の完全なる住所が決定します。
ある時、アパートの取り壊しが決定したとします。その場合、アパートの住人は問答無用で、次に住むアパートを探して引っ越さなければなりません。そして、住所が全くの別物に変わることになります。
これに対し、個人が独自ドメインを取得することは、どこに住んでいようと変わることが無い不変の住所を得ることになります。
それは、サイトを公開するサーバーを転々としたとしても、サイトURLを変更する必要が無くなる、ことを意味します。
3. サーバー閉鎖 ~ サーバー移転による悲劇
自分は、過去に2度、レンタルサーバー閉鎖に伴うサイトの移転を経験してきました。
1度目は、2010年10月に、Infoseek iswebのサービス停止により、やむなくYahoo ジオシティーズへサイトのデータを移転させました。
2度目は、2019年3月に、まさかのYahoo ジオシティーズのサービス停止により、XREAのレンタルサーバへサイトのデータを移転させました。
趣味レベルの域を出ないサイトでしたので、独自ドメイン取得の必要性を感じることは、あまり無かったのですが、この考えが誤りでした。2度目の移転後に、自サイトへの訪問者が皆無になっていることを目の当たりにした時には、愕然としました。
Googleの検索では、移転前の旧URLのままが検出され続け、また複数のサイトやブログ等で、自サイトへのリンクを貼っていただいていることは知っていましたが、そのほとんどが旧URLのままであることもあり、自サイトへと導くルートが完全に失われていました。
また、自分のサイトをブックマークされている方がいたとしても、同じことが言えると思います。自分のような趣味レベルのサイトであっても、この現実には、虚しさを感じるしかありませんでした。
このように、アパートからの立ち退きと同様、借り物のURLでは、サーバー移転後には全く別のURLに変わります。これにより、これまでに積み上げてきたネット上での認知度が突如として0になってしまいます。
4. Yahoo ジオシティーズからXREAへのサイト移転
2019年3月31日を最後に、Yahoo!ジオシティーズが終了しました。北米の法人誕生が1994年であり、約25年の歴史に幕を下ろしたことになります。日本で最大級のホームページ作成サービスだったはずなのに、まさかサービスを停止してしまうとは思ってもいませんでした。過去に、利用されたことがある方も多いと思います。
Yahoo!ジオシティーズ終了に際し、事前にサービス終了の通知がありましたので、2019年の1月にサイトの移転先(XREAのレンタルサーバ)を決めて、データの引っ越しを行いました。
旧URLから移転先のURLへの転送設定が効いている間はまだマシだったのですが、9月にはURL転送サービスが終了し、そこから悲劇のはじまりとなりました。
5. ゼロからのSEO対策
Googleの検索により、自サイトへ来てもらうためには、特定キーワードの検索結果として、なるべく上位に表示されなければなりません。
数年前には、特定のキーワード検索で上位に表示されることも、しばしばあったのですが、サイト移転後には、ほぼ無くなり、検索結果として表示されたとしても旧URLが表示されるという有様でした。
どなたかが、検索結果で表示された旧URLをクリックしたとしても、以下のようなメッセージが表示されてしまえば、訪問をあきらめてしまうのが普通でしょう。
こうなってしまっては、ゼロからSEO対策を行って、サイトの認知度を地道に高めていかないとどうにもなりません。しかも、新しいURLをGoogleに認知してもらうためには、結構な時間がかかるでしょうし、根気強くやるしかありません。
また、旧URLのままとなっている被リンク元からの訪問者も、ほぼ無くなってしまいましたが、リンクの変更については、多くは相手任せであり、よほどこちらのサイトの認知度が高くない限り、変更してもらえることは稀なことです。これも、やはりサイトの認知度を高めていくしか方法はありません。
現在は、「Google Search Console」で指摘されたサイトの問題点の改善や、サイトマップを設定するなどのSEO対策を継続して実施中ですが、なかなか成果が表れていないというのが実情です。
今更ながら、独自ドメインを早々に取っておくべきだったと後悔しているのですが、もはや手遅れです。よって今後、二度と同じことを繰り返さないように、独自ドメインによるサイトURLの永続化に踏み切ることにしました。
6. 独自ドメインはどうやって取得するのか
独自ドメインは、以下のようなドメイン総合サービスより取得することができます。
なお、バリュードメインの2年目以降の更新料は「.com」の場合、2024年時点で税抜き1900円(1年間))となっています。使いやすさや費用を考えて、お好みのドメイン総合サービスを利用していただければいいと思います。
7. バリュードメインで取得した独自ドメインをXREAの自身のサイトに適用する
取得した独自ドメインを自身のサイトに適用させるには、いくつかの設定を行わなければなりません。
自分の場合、バリュードメインより取得した独自ドメインをXREAレンタルサーバーで公開しているサイトに適用しましたので、このケースでの設定の流れについて、以下に示したいと思います。
なお以降は新規に独自ドメインを取得し、何も設定していない状態からの流れとなります。
<バリュードメイン コントロールパネルからの操作>
①WHOIS情報公開代行の設定
ドメイン所有者の登録者情報が公開されているのですが、自身の情報を公開したくない場合、この設定により、WHOISではバリュードメインの名義が公開されることになります。
設定したほうがいいでしょう。
②ネームサーバーの設定
以下のいずれかを選択します。
・当サービス内のネームサーバー(ns1~5.value-domain.com)を利用する
・当サービス内のネームサーバー(ns11~13.value-domain.com)を利用する
③DNSレコード/URL転送の設定
「当サービス内サーバーの自動DNS設定」にて、XREAレンタルサーバを選択します。
?????※で運用する設定に変更
※:?????には、XREA レンタルサーバ(例:g2.xrea.com)を選択して保存します。
<XREA コントロールパネルからの操作>
①ドメイン設定
「ドメイン設定の新規作成」ボタンをクリックして、独自ドメイン名を入力します。
②サイト設定
サイト一覧に表示されている新規に作成したドメイン名を選択後、「サイト設定の変更」画面にて、以下の設定を行います。
・「同期設定」を「する」に変更
・「SSL」で「無料SSL」または「独自SSL」を選択
(今後、SSL化は必須となりそうですので、どちらかを選択しましょう)
以上の設定が完了したら、しばらくの後、XREAで公開していたサイトが、独自ドメイン名の指定でも表示されるようになります。独自ドメイン名を”sampleA.com”と仮定した場合、以下のURLとなります。
https://sampleA.com
必須というわけではありませんが、「301リダイレクト」の設定を行うことで、独自ドメイン適用前のURLや、非SSLのURL(http://sampleA.com)を指定された場合にも、上記URLへ転送させることができます。
以下のように編集した「.htaccess」という名前のファイルをレンタルサーバのドキュメントルート( /public_html )に配置してください(独自ドメインが”sampleA.com”の場合)。
RewriteEngine On
RewriteCond %{HTTPS} off
RewriteRule ^(.*)$ https://sampleA.com/$1 [R=301,L]
8. livedoorブログにバリュードメインで取得した独自ドメインを設定する
当ブログは、liveddorブログを利用しているのですが、バリュードメインで取得した独自ドメインをlivedoorブログに設定する手順についても、以下に示したいと思います。
livedoorブログに独自ドメインを設定しておけば、将来的にレンタルサーバ上のWordPressによる運用に移行することがあっても、URLを変更することなくブログの運用を継続できます。
※:当ブログは2020/2に、livedoorブログからWordPressへ移行済みです。
<バリュードメイン コントロールパネルからの操作>
①DNSレコード/URL転送の設定
以下のDNS設定を追加して保存します。PC/スマホ版のサブドメインを”blog”、携帯版のサブドメインを”m-blog”と仮定した場合の設定となります。
cname blog blog-01.livedoor.jp.
cname m-blog mobile-blog-01.livedoor.jp.
※注意
~.livedoor.jpの後に「.」(ドット)があることに注意してください。当初、48時間経っても設定が反映されなかったため、調べてみたところ、ドットを指定していないことがわかりました。訂正後、約1時間後には無事に反映ができていましたので、あまりに時間が掛かるようでしたら。設定を見直してみてください。
<livedoorブログのマイページからの操作>
①ブログURLの設定
「独自ドメインを使用する」を選択し、以下を入力して「設定する」ボタンを押下します。
独自ドメイン名を”sampleA.com”と仮定します。
PC/スマートフォン版
http://blog.sampleA.com
携帯版
http://m-blog.sampleA.com
②ドメイン転送の設定
「転送設定を追加する」にて、独自ドメイン設定前のlivedoorブログURLを設定します。
この設定により、変更前のURLを指定された場合も、ブログへのアクセスができるようになります。
以上の設定が完了したら、数時間の後、①で設定したURLの指定で、自身のlivedoorブログが表示されるようになります。
9. まとめ
自身のサイトを公開する場合、用途に関わらず、なるべく早めに独自ドメインを取るようにして、世界でひとつのURLを入手しておくべきと言えます。
たとえ、趣味の用途限定であったとしても、レンタルサーバーのサービス停止による訪問者激減は精神衛生上辛いものがありますし、SEO対策をゼロからやり直すにしても、手間と時間を要します。
また、近年では個人がビジネス用途のサイトを運営するケースが増えてきており、自サイトURLを永続化しておくことにより、後々にビジネス用途へと移行する際にも、大きなメリットとなることは確実です。
らくらくドメイン&レンタルサーバー活用ガイド
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