私にとっての80年代の音楽は、現在では80s(エイティーズ)と呼ばれている洋楽がメインでした。80年代(前半)の洋楽は、今でもよく耳にする曲ばかりで、まさに洋楽黄金時代と呼べる時期であったと思います。
当時、中学生だった私は、友人の影響から洋楽にハマり、その魅力に惹かれていきました。
特定のアーティストの曲だけを聴くというわけでは無く、ヒットしている曲であれば何でも聴くというスタイルで、日々カセットテープに録音することを繰り返していました。
この頃、聴いていた曲のほとんどのPVが、現在、YouTubeなどで手軽に観ることができます。たまに、YouTubeで当時の曲のPVを観たりするのですが、そのたびに、若かりし日々の思い出がよみがえります。。。
それでは、80年代の音楽鑑賞について、振り返ります。
同年代の方には、すこしでも当時を懐かしんでいただけたら嬉しいです。また、若い方には、昔はこんな苦労があったのかと、感じ取っていただけたら嬉しく思います。
1.音楽(洋楽)をカセットテープに録音
近年は、録音媒体としてカセットテープを用いることはほとんど無く、MDすらも利用されなくなりました。 また、少し前までは、音楽をファイル化して、スマホや小型の音楽プレーヤーに格納して聴くって時期がありました。
現在に至っては、ファイル化した音楽をクラウド上に置くことで、どのデバイスからでも音楽を楽しむことが出来ます。また、1000円程度のお金を出して音楽配信サービスを契約すれば、音楽を自分でファイル化する必要すらもありません。
80s全盛の時代をリアルタイムで過ごされてきた方は、おわかりになるかと思いますが、現在のようにCDというものが無く(あったかもしれないが普及していなかった)、音楽の入手といえば、通常はレコードを買う、またはレコードをレンタルショップや友人に借りて、カセットテープ に録音するということでした。
当時中学生だった私は、ラジカセを持っているだけでしたので、レコードからの録音はステレオセットをもっている友人にお願いして録音してもらっていました。
2.FMラジオとエアチェック
つまり、FMラジオから流れる音楽をカセットテープに録音して楽しむということです。 FMラジオから流れる音楽は、ステレオ化されており、音質的にも充分なものでした。
また、AMラジオとは違って、音楽がフルコーラスで流れるということもあり、FMラジオからカセットテープへの録音を頻繁に行っていました。
FMラジオから流れる音楽を事前にチェックして、カセットテープに録音することを「エアチェック」と呼びます。しかし、現在のように手軽に音楽を楽しめる時代となっては、もはや死語となってしまったと言ってよいでしょう・・・。
(1)FM情報誌
そこで、大いに利用したのが、FM情報誌と呼ばれるものです。
当時、発売されていたFM情報誌は、「週間FM」、「FMレコパル」、「FM fan」、「FMステーション」など様々なものがありましたが、私の愛読誌は、「週間FM」でした。
FM情報誌には、FM放送の番組表が掲載されており、どの番組で、どんな曲が流れるのかが詳細に記されています。
これにより、事前にどの番組でどんな曲が流れるかを把握することが出来ます。 私の場合、「週間FM」を購入すると2週間分の番組表を見て、録音したい曲があれば以下の写真のようにチェックするようにしていました。
当時、よくエアチェックに利用した番組といえば、NHK-FMの「朝のポップス」、「サウンド・オブ・ポップス」、「軽音楽をあなたに」、 「クロス・オーバー・イレブン」、および、日曜午後6時からの「リクエスト・コーナー」などの番組でした。
(2)FMラジオからの録音
録音中は緊張します。放送事故が無いとも限らないし、変な雑音が入る可能性もあります。
そして、なんとか無事に曲が終了してくれと、ひたすら祈ります・・・(笑)。
録音が無事に完了したら、カセットテープのインデックスに曲名とアーティスト名を書き込んで終了となります。 同番組中に、複数の録音目的の曲があれば同じ工程を繰り返します。
手間は掛かるんですけど、この手間がなんとも楽しかった。 また、目的の曲の録音が無事に成功した際は、不謹慎かもしれませんが、タダで曲を入手できた喜びでいっぱいでした。
(3)ヒット曲を探す
「週間FM」には、全米TOP100を記したチャートが掲載されていました。 ちなみに、1980年10/11付のチャートTOP10は以下のようになっています。今でも、よく耳にする曲がいくつも並んでいます。
(4)エアチェックで録音したカセットテープ
このカセットテープには、第1回~24回の「レコードOF THE YEAR」授賞曲を録音しているのですが、第24回授賞曲が間違っています。
第24回受賞曲は「ベティ・デイビスの瞳(キム・カーンズ)」 が正しいのですが、なぜか「ニューヨーク・シティ セレナーデ(クリストファー・クロス)」になっています。理由は、今となってはもうわかりません。。。
40年以上前に録音したセットテープですが、もちろん今でも問題なく再生して聴くことができます。ただ、音源は丸ごとMP3化しており、今ではそちらを聴くことのほうが多いです。
カセットテープ音源のMP3化は、「USBオーディオキャプチャー」を使うと、簡単に行うことが出来ます。
(5)エアチェックで便利だったオーディオタイマー
デジタル時計と、指定時刻に電源ON/OFFを行う設定が2つほど出来るというもので、今思えばごく単純な機能なのですが、デザインが気に入って買ってしまいました。
留守中でもFM放送の録音が出来るということで、結構、重宝いたしました。一応、今でも動くことは動くのですが、使用する機会は全くありません・・・。
3.レコード録音
以下のようなセットで、メーカーはAurex(東芝のオーディオブランド名)です。アンプ、カセットデッキ、チューナーだけではなく、レコードプレーヤー、スピーカーも、もちろん付いています。
全部で20万くらいしたと思いますが、必要最低限の機能しかありませんでした。
ということで、レコードからカセットテープへの録音が可能になったということで、レコード録音について語りたいと思います。
レコードからカセットテープへの録音も決して楽ではありません。 現在では、CDから音楽ファイルを作成する際、1曲あたり数秒で完了してしまいますが、しかし、カセットテープへの録音は、演奏時間+αの時間が掛かります・・・。
この+αの時間が問題です。大体、以下のような手順でレコードからカセットテープへの録音を行っていました。
(1)カセットテープの用意
購入したてのカセットテープの場合、終わりまで早送りして、最初まで巻き戻します。
何かにこうしたほうが良いと書いてあって、こうすることが癖になってしまいました。今思えば、あまり意味はなかったような気がします。
(2)カセットデッキの録音レベルを設定
レコードの曲をかけてみて、カセットデッキの録音レベルを設定します。
カセットテープの種類(ノーマル、クローム、メタル)毎に、最適とされている録音レベルがあり、カセットデッキの録音レベルつまみの位置を決定します。
(3)カセットデッキのヘッドクリーニング
ヘッドクリーニングは、以下左のようなキットで綿棒にクリーニング液を付けてシコシコします。
時々は以下右のヘッドイレーサーで磁気消去も行っていました。写真はLo-D(日立製作所のオーディオブランド名)製のスケルトンタイプのものです。
(4)カセットテープの録音開始位置を決める
大体、ビニールテープと磁気テープの境目の位置から、20センチくらい磁気テープを進めた位置に決めていました。
録音開始位置を決めたら、カセットデッキにセットします。
(5)レコードの埃とり
録音中に、音飛びしないように、レコードの埃とりは、念入りにやっていました。
レコードを落下させないように、慎重にやる必要があります。
(6)録音開始
レコード(A面)に針を下ろし、カセットデッキの録音ボタンをプチっと押します。
録音を開始したら、変な雑音が入らないよう、また音飛びせず無事にA面の演奏が終了するようにと・・・、
ひたすら祈りながら待ちます・・・(笑)。
(7)B面の録音を同様に行う
4.まとめ
しかし、今思うと、なんとも面倒な作業を繰り返していたものだと思います。
レコードからの録音といっても、学生だった私が頻繁にレコードを買えるはずもなく、レンタルレコード店から数百円で借りてきて録音することが大半でした。
最も悲惨なのが、レコードに傷が付いたものを借りてしまい、ブチブチと雑音が入ってしまうことです。 いや、雑音だけでなく、音飛びを防ぎようもないような傷があってどうしようもないことが多々ありました。 そんな時は、気分まで滅入ってしまいます。
こうした苦労は、80年代後半にCDが一般普及するまで続くことになります・・・。 CDの時代になっても、録音に演奏時間+αの時間が掛かるのは、まだしばらく続くのですが、レコード録音に比べれば楽な作業でした。
でもまあ、こうした苦労も楽しかったし、振り返ってみれば、懐かしい思い出でもあります。
カセットテープが使われなくなったのは、1995年のWindows 95の登場により、一気にパソコンが普及していったことが大きいと思います。これ以降、音楽の録音はパソコンで行う時代となって、現在へとつながっています。
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