へびつかい座【黄道上にあるもうひとつの星座】

 へびつかい座は黄道上にある星座です。しかし、星占いで皆が知っている黄道十二星座には含まれておらず、十二星座と比べると、いまひとつ知名度が低い星座であると言えます。

 上の画像には、へびつかい座の近くに土星が見えています。土星だけではなく木星や火星などの惑星は地球とほぼ同じ平面上を公転しているため、太陽の通り道である黄道上付近でしか見ることが出来ません。

 そのことからもへびつかい座は、確かに黄道上にある星座なのです。
 

・へびつかい座の由来とは

 ギリシャ神話に登場する名医、アスクレーピオスがモチーフとなっている星座です。アスクレーピオスは医学の才に長け、熟練するにつれ、メドゥーサの血を使って死者までも蘇らせるようになりました。死後、その功績からへびつかい座になったというのが由来です。

 アスクレーピオスは持っているヘビの巻きついた杖は「アスクレーピオスの杖」と呼ばれ、医療、医術の象徴として世界的に用いられているシンボルマークとなっています。

 

・黄道十二星座に含まれなかった理由とは

 西洋占星術で用いられる十二星座は、黄道帯を12等分したものです。そこにへびつかい座は含まれていません。一方、天文学においては、黄道は13の星座の領域を通過(へびつかい座を含む)しているという事実のみがそこにあります。

 よって、占星術でいう「黄道十二星座」天文学の「黄道上にある星座」とは異なる考え方で成り立っているものであり、同一視することはできません。

 1年は12カ月であり、西洋占星術においては黄道帯を12カ月と同じく12等分することが都合がよかったと言えます。また西洋では13という数字が不吉な数字として扱われていたこともあって、「十三星座」とすることはできず、やむなく「十二星座」としたという考えもあるようです。

 1990年代に、黄道上にあるへびつかい座を含めた13個の星座を用いた占いが考案されましたが、今はもう廃れてしまったようです。やはり、1年を13等分するというのは、どうも違和感があり浸透しなかったというのが、その要因のようです。

 

・へびつかい座の星々について

 へびつかい座を形成する代表的な星々は、以下のとおりです。へび座を含めるとかなり大きな星座で、うみへび座の大きさに匹敵するほどです。2つの2等星と2つの3等星の他は、明るく目立つ星はありません。

・α星:ラスアルハゲ。2等星。「蛇を採る者の頭」を意味するアラビア語に由来。距離約48.6光年。
・β星:ケバルライ。2.78等級。「羊飼いの犬」を意味するアラビア語に由来。距離約81.8光年。
・γ星:ムリフェン。3.75等級。塵の回転円盤が存在すると予測。距離約95光年。
・δ星:イェドプリオル。2.75等級。赤色巨星。ε星とともにへびを掴むへびつかいの左手を表す。距離約171光年。
・ε星:イェドポステリオル。3.23等級。δ星と見かけの二重星の関係。距離約106光年。
・η星:サビク。2等星。へびつかい座で2番目に明るい。実視連星。距離約88.3光年。

 

 上記以外にも、最大の固有運動の大きさ(1年に10秒)を見せるバーナード星がへびつかい座の方向に存在します。地球から6光年という比較的近距離にある星なのですが、9.5等級と暗く肉眼で確認できるほどの明るさはありません。

 星の固有運動については、以下の記事を参照してください。

はくちょう座61番星【はじめて恒星までの距離を測定】
太陽以外の恒星までの距離を測定するにあたり、なぜ、はくちょう座61番星が選ばれたのか? 19世紀に、どのようにして恒星までの距離を計測したのか?

 

おわり

 

 

 

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