はくちょう座61番星【はじめて恒星までの距離を測定】

 はくちょう座61番星という星があります。太陽からは約11.4光年の距離に位置し、比較的太陽系の近くにある恒星のひとつで、はくちょう座61番星A、Bからなる連星です。

 
 この星は、太陽以外で距離が測定された最初の恒星となりました。19世紀の1838年のことです。
 

 

・測定対象に選ばれた理由

 太陽以外の恒星までの距離を測定するにあたり、なぜ、はくちょう座61番星が選ばれたのでしょうか?

 その当時、すでに知られていた恒星のうち、はくちょう座61番星は、最大の固有運動(星の位置の変化)を持つ星として知られていました。その固有運動の大きさから、太陽系から近距離にある星であると考えられていたこともあって、歴史上初の恒星までの距離測定のターゲットとして選ばれました。

 はくちょう座61番星の固有運動の大きさ(角度)は1年間に5秒ほどです。ちなみに現在、確認されている最も固有運動が大きな恒星は、へびつかい座の方向にあるバーナード星で、その大きさ(角度)は1年間に10秒もあります。

 バーナード星は、はくちょう座61番星よりもさらに近距離に位置し、距離は6光年ほどですが、9.5等級と暗い星であるため、当時は発見には至っていませんでした。

 

・はくちょう座61番星までの距離を測定

 はくちょう座61番星までの距離の測定は、年周視差を用いて、1838年にドイツの数学者、天文学者であるフリードリヒ・ヴィルヘルム・ベッセルによって達成され、現在わかっている11.4光年という数値に非常に近い値を割り出しました。この功績により、はくちょう座61番星はベッセル星という名称でも呼ばれています。

 地球から太陽までの距離は、当時もわかっていました。距離は約1億5000万kmです。下図のA地点から恒星を観測し、さらに6カ月後にB地点より観測すると、恒星までのわずかな視線の違いが生じます。その際に、図の角度a角度bを求めて、角度a(≒角度a’)を確定させました。

 角度aが求まることで、年周視差(角度c(≒角度c’))が求まり、太陽から恒星までの距離、および地球から恒星までの距離を求めることができます。ただし、下図はデフォルメして描いたもので、実際は角度aは90°に極めて近く、角度cも0°に極めて近い値でした。

 

・計測したはくちょう座61番星までの距離

 ベッセルが年周視差を用いて割り出した地球からはくちょう座61番星までの距離は100兆km(約10.5光年)で、現在わかっている約11.4光年よりも若干短めの値でした。

 しかし、当時はこの功績に対し、「観測天文学が経験したなかで最も偉大で栄光ある勝利」と称えられたと言われています。

 
 
 
おわり
 
 
 
  
  
  

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