【はと座μ星】ランナウェイスター【オリオン大星雲から弾き飛ばされた星】

 「はと座」という星座はご存じでしょうか。位置的には、おおいぬ座の右下に位置しています。


 
 はと座を形成する主な恒星は以下のとおりです。この中に、μ(ミュー)星という星があるのですが、本記事で注目するのはこの星になります。
・α星:ファクト。2.65等級。はと座で最も明るい。アラビア語で「数珠掛鳩」を意味する。距離約261光年。
・β星:ワズン。3.12等級。高速度星。いずれ白色矮星になると推測される。距離約87.1光年。
・γ星:4.36等級。距離約853光年。
・δ星:3.85等級。距離約237光年。
・ε星:3.86等級。距離約277光年。
μ星:5.18等級。距離約1294光年
 

・オリオン大星雲で生まれた星

 はと座のμ(ミュー)星は、オリオン大星雲で生まれました。オリオン大星雲で生まれた星が、なぜこんなところにいるのでしょうか?

 かつては、はと座μ星はオリオン座ι星の伴星と連星系をなしていたと言われています。約270万年前にオリオン大星雲のトラぺジウム星団で起こった超新星爆発により、二つの連星系の衝突が起こりました。はと座μ星は、この衝突により連星系から弾き飛ばされたと考えられています。

 また、この超新星爆発によって、オリオン座のバーナードループが形成されました。

・ランナウェイスター

 はと座μ星は、秒速118kmという猛スピードで、オリオン大星雲から遠ざかっており、このように何らかの理由で異常に大きな速度で宇宙空間を移動している天体のことをランナウェイスター(逃走星)といいます。

 ランナウェイスターとなる要因は、はと座μ星のように、強大な力で星団や連星系から弾き飛ばされたというケースが多く、はと座μ星以外にも、いくつか確認されています。

・その他のランナウェイスター

 はと座μ星以外で、オリオン大星雲から弾き飛ばされたランナウェイスターとして確認されている星には、ぎょしゃ座AE星おひつじ座53番星があります。

 ぎょしゃ座AE星は、かつてオリオン座ι星系の主星と連星系をなしており、はと座μ星と同じく約270万年前に起こった超新星爆発により弾き飛ばされました。

 おひつじ座53番星も同様に、オリオン大星雲より弾き飛ばされた星と言われています。

 

・はと座を探すには

 はと座は、おおいぬ座の右下に位置しますが、暗い星が多く、街中で形を確認するのは困難かもしれません。

 南の空が開けている場所であれば、はと座の下の方の地平線(水平線)すれすれに、カノープス(りゅうこつ座α星)も見ることができると思いますので、カノープス観測のついでにでも、はと座も確認してみてください。

 

 

 

おわり

 

 

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