以下に示す10の天文知識は、天文愛好家にとっては、ごくあたりまえの基本的な知識だと思います。しかし、そうではない人が全てを知っているかというと、そうでもなく、知っている人はごく稀だと思います。
飲み会などで、これら天文知識を何気に披露すれば、一目置かれる存在になれる・・・かもしれません。(笑)
(1) 月までの距離
(2) 太陽までの距離
(3) 1光年って何キロメートル
(4) 1等星って何個ある
(5) 一番近くにある恒星(太陽除く)
(6) 確認されている一番大きな恒星
(7) 天の川銀河の大きさ
(8) 太陽系の惑星と準惑星
(9) 太陽の寿命
(10) 真北にあるわけではない北極星
(1) 月までの距離
ただし、月は1年に2~3cmづつ地球から遠ざかっており、100年後には、現在の位置から2~3m遠ざかります。1000年後には20~30m・・・。う~ん、しばらくは、約38万kmから変わることはないでしょう。
月が誕生した原因として有力視されている「ジャイアント・インパクト説」によると、46億年前の誕生間もない地球に、火星とほぼ同じ大きさとされる仮設上の原始惑星(テイア)が斜めに衝突し、飛び散った破片が結合したことにより、月が誕生したとされています。あくまで仮設なので、真実とは限りませんが、理に適っている説だとは思います。
誕生間もない月は、地球から僅か2万kmほどのところにありましたが、それが徐々に地球との間の潮汐力の影響で、地球から遠ざかり、現在の約38万km離れた軌道まで移動したと考えられています。
(2) 太陽までの距離
地球から太陽までの距離は、約1億5000万kmです。
ただし、地球は太陽の周りを真円で公転しているわけではなく、平均距離1億4960万km ± 250万kmの範囲で距離が変動します。それならもう、約1億5000万kmと覚えておけばよいでしょう。
また、地球から太陽までの距離(約1億5000万km)は1天文単位(1AU)と呼ばれます。例えば、太陽から木星までの距離は、5.2天文単位(5.2AU)です。
(3) 1光年って何キロメートル
1光年とは光が1年間に進む距離のことです。太陽以外で最も明るく輝いている恒星(おおいぬ座のシリウス)までの距離は8.6光年あるのですが、天文学的には太陽系に極めて近い距離にある恒星のひとつとされています。なんとなく、すぐ近くにある星のように思えてしまいますが、実際は途方もないほどの距離があります。
1977年に打ち上げられたボイジャー1号は2020年1月現在、太陽圏を脱出して恒星空間を移動しており、地球から149 AUほど離れたところを飛んでいます。
地球と太陽までの距離は0.00001579光年※1、分秒になおせば8分18秒※2ですので、ボイジャー1号は地球から光が20時間36分※3かけて進む距離の位置にあります。
つまり、地球から光が1日かけて進む距離にもまだ到達していないということになります。
ボイジャー1号の例を挙げると、1光年という距離が、いかに途方もない距離であることがわかると思います。惑星探査を行っていた当初よりも移動スピードは上がっているのでしょうが、地球から1光年離れた位置に到達するには、あと1万年以上はかかりそうな感じです。
※1:1.5億/95000億≒0.00001579光年
※2:95000億/365.25日≒260.1億/日
260.1億/24時間≒10.84億/時間
10.84億/60分≒0.1807億/分
1.5億/0.1807≒8.3分(8分18秒)
※3:8.3分×149AU≒1236.7分
1236.7分/60分≒20.6時間(20時間36分)
(4) 1等星って何個ある
実は、以下に示す21個すべての1等星を日本からも見ることが出来ます。ただし、以下の網掛けになっている星は関東からは見ることができず、沖縄の離島などでは見ることができます。
・1等星一覧(順序は視等級順<数値が小さいほど明るく見える>)
①シリウス : おおいぬ座α星(視等級-1.47,距離約8.6光年)
②カノープス : りゅうこつ座α星(視等級-0.74,距離約309光年)
③アルファ・ケンタウリ : ケンタウルス座α星(視等級-0.1,距離約4.39光年)
④アークトゥルス : うしかい座α星(視等級-0.04,距離約219光年)
⑤ベガ : こと座α星(視等級0.03,距離約25光年)
⑥カペラ : ぎょしゃ座α星(視等級0.06,距離約43光年)
⑧プロキオン : こいぬ座α星(視等級0.34,距離約12光年)
⑨ベテルギウス : オリオン座α星(視等級0.42,距離約642光年)
⑩アケルナル : エリダヌス座α星(視等級0.50,距離約139光年)
⑪ハダル : ケンタウルス座β星(視等級0.60,距離約392光年)
⑫アルタイル : わし座α星(視等級0.77,距離約16.7光年)
⑬アクルックス : みなみじゅうじ座α星(視等級0.81,距離約322光年)
⑭アルデバラン : おうし座α星(視等級0.985,距離約67光年)
⑮スピカ : おとめ座α星(視等級1.04,距離約249光年)
⑯アンタレス : さそり座α星(視等級1.09,距離約554光年)
⑰ポルックス : ふたご座β星(視等級1.15,距離約34光年)
⑱フォーマルハウト : みなみのうお座α星(視等級1.16,距離約25光年)
⑲デネブ : はくちょう座α星(視等級1.25,距離約1411光年)
⑳ミモザ : みなみじゅうじ座β星(視等級1.297,距離約278光年)
㉑レグルス : しし座α星(視等級1.40,距離約79光年)
(5) 一番近くにある恒星(太陽除く)
ケンタウルス座α星は、地球から見て3番目に明るい恒星ですが、α星A、Bからなる連星が主な光源です。プロキシマ・ケンタウリは、このα星A、Bの周りを50万年以上の周期で公転している赤色矮星ですが、暗い星なので、肉眼で見ることはできません。直径は太陽の約7分の1ほどです。
近年、プロキシマ・ケンタウリの周りを公転する地球型惑星(プロキシマ・ケンタウリb)が発見されました。液体の水が存在できるハビタブル・ゾーン内に位置するそうなので、期待が膨らみます。
(6) 確認されている一番大きな恒星
たて座UY星は、直径が太陽の約1700倍ほどある赤色超巨星です。太陽系の中心に置けば、地球は飲み込まれてしまい、木星の軌道にまで達します。地球からの距離は、約9500光年ほどです。
(7) 天の川銀河の大きさ
ただし、天の川銀河は真円ではなく、直径が約8万~10万光年の範囲にある大きさの棒渦巻銀河に分類されます。中心には超大質量ブラックホールが存在し、中心部付近にはバルジと呼ばれる棒状の明るい中心核があることが、棒渦巻銀河の特徴となっています。
計測位置により直径が変化するのですが、天の川銀河の大きさとしては、最大直径である10万光年を覚えておけばよいと思います。
(8) 太陽系の惑星と準惑星
・惑星
①水星,②金星,③地球,④火星,⑤木星,⑥土星,⑦天王星,⑧海王星
・準惑星
①冥王星,②エリス,③ケレス,④マケマケ,⑤ハウメア
21世紀になってから冥王星が惑星から陥落し、準惑星となったことは記憶に新しいところです。その時に、冥王星を含む5つの準惑星の存在を知りましたが、準惑星は今後も増えていく可能性がありそうです。
(9) 太陽の寿命
恒星の寿命は、その質量で決まり、太陽ほどの質量を持つ恒星の寿命は、約100億年くらいと言われています。太陽が誕生して約46億年ほどですから、これから50億年以上は輝き続けることになります。
ただし、約50億年後には膨張を開始して、今の100倍以上の大きさの赤色巨星になります。その後は、外側のガスが抜けて惑星状星雲となり、中心に白色矮星が残ると考えられています。遠くからは、こと座にある惑星状星雲(M57)のような形で見えるはずです。
そのころに人類が地球上にいるとは思えませんが、太陽の死と共に、地球も死を迎えることとなります。
(10) 真北にあるわけではない北極星
ただし、現在の北極星(こぐま座α星のポラリス)が、真北に最も近い明るい恒星であることに違いはなく、北の方角を示す目印としての機能は充分に果たしています。
北極星がどの程度、真北の方向からズレているかは、以下の画像をご覧ください。「Polaris Scope」という赤道儀の極軸合わせを行うためのスマートフォンアプリの画像ですが、赤道儀のスコープでも同様に、白い点の位置に北極星を合わせると、十字の交点が真北の方向を向き、極軸を合わせることができます。真北から結構、ズレているように見えますが、角度にして、0度44分9秒ほどのズレであり、その角度で円を描いているように見えます。
どの時期に、どのような星が北極星だったのか、また未来にはどのような星が北極星になりうるのかについては、また別途、記事にさせていただきます。
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