自作したPCに限らず、メーカー製のPCであっても、
電源ボタンを押してもPCが起動しないってことが、ごく稀にあります。こういう時、どうしたらいいのでしょうか?
お金を払って修理に出せば、間違いなく解決はするのでしょうが、自分で原因を調べる手順さえわかっていれば、そんな必要はありません。
この記事は、自分のPCがまさに、このトラブルに直面してから、解決までにやったことを記録したものです。
1. 突然PCの電源が入らなくなった
ある日突然、PCの電源スイッチを押しても電源が入らなくなってしまいました。これは、電源コードの接触不良か何かだと思い、電源コードを確認し、コードの抜き差しなども試してみましたが、改善することはありませんでした。
電源が入らなくなったPC(自作PC6号機)は、2年前(2019年)の7月に組み上げたPCであり、組み上げてから、その日まで、なんのトラブルも無く動作し続けていたのですが、たった2年でどうして、こんなことに。
原因の調査を行う前に、まずは内部にたまった2年分の埃や汚れを取り除くために念入りに掃除をしました。内部にはさほど埃はたまっていなかったのですが、下部にある電源吸気口の防塵ネットにはべったりと埃が付いており、空気の通りが悪くなっていることが明らかでした。
このことがPC故障の原因につながることもあるようなので、今後はPCに付着した埃は、定期的に取り除くようにしたほうがいいですね。
ひととおり掃除を終えて、再度電源スイッチをON。やはり、ウンともスンと言わない状況が変わることはありませんでした。どうやら、本格的にPCの故障を疑う事態に迫られてしまったようです。
2. PCの電源が入らなかった原因
結論から言いますと、一時回復後しばらくの間は電源スイッチ押下で、従来のようにPCが起動するようになっていたのですが、3週間ほどで再発してしまい、
マザーボード(ASRock B450 Pro4)を買い換えました。
マザーボード交換後は、何の問題もなく稼働を続けていたので、マザーボードの故障だと一時は思ったのですが、単にCMOS電池(CR2032)がヘタっていたことが原因でした。
以降で、この結論に至った経緯について説明します。
3. PCの電源が入らない原因を探る手順
PCの電源が入らない原因について調べたところ、以下の4つのケースが考えらるようです。そこで、ひとつひとつ
消去法により、問題個所を絞り込んでいくという作業を行いました。
(1)PCケースの電源スイッチの故障
(2)PC電源の故障
(3)ストレージなど周辺機器の故障
(4)マザーボード、CPU、メモリの故障
問題の部位を特定するために、正常に動作している機器やパーツを確定させていくことで、問題個所を絞り込んでいきます。
(1)PCケースの電源スイッチの確認
最初に、PCケースの電源スイッチが正常に動作することを確認しました。
まず、PC電源をOFFにした状態(電源スイッチ[〇/-]の[〇]の状態か、電源コードを抜いた状態)で、PCケースの電源スイッチとつながっている「POWER SW」コネクタをマザーボードの「POWER SW」ピン(2本)より外します。
次に、PC電源をONにした状態(電源スイッチ[〇/-]の[ー]の状態にし、マザーボードの「POWER SW」ピン(2本)をマイナスドライバで同時に触り、ショートさせます。
これにより、PCの電源が入るようでしたら、PCケースの電源スイッチの故障ということになります。しかし、この作業によりPCの電源が入ることはなく、PCケースの電源スイッチの故障という線は消えたということになります。
(2)PC電源の確認
次に、PC電源が正常に動作しているかを確認します。
PC電源が単独で正常に動作しているかを確認するには、
「ATX電源検証ボード」(
アイネックス ATX電源検証ボード KM-02C)というツールを使うと便利です。他にも単独で動作することを確認する方法はあるようですが、てっとりばやくこのツールを使って確認します。
PC電源とは何もつながない状態にして、PC電源とATX電源検証ボードとを接続(24ピン)します。もちろん、PC電源をOFFにした状態で作業します。
接続が終わったら、PC電源をONの状態にし、ATX電源検証ボードのスイッチをONの状態[ー]にします。このとき、LEDが光り、PC電源のFANが回転するようであれば、ほぼPC電源に異常なしと判断できます。
検証の結果、PC電源に問題はありませんでした。
(3)ストレージなど周辺機器の確認
PCケース、PC電源に異常が無いとすると、次は、ストレージ等周辺機器の故障を疑います。
ストレージ等周辺機器の異常が原因ではないことを確定させるために、最小構成での動作を試します。最小構成とは、PC電源、マザーボード、CPU、メモリだけの構成で、ストレージ等周辺機器には、いっさい接続していない構成です。
PC電源ONの状態で、最小構成でマザーボードの「POWER SW」ピン(2本)をマイナスドライバでショートさせましたが、電源が入ることはありませんでした。
これにより、ストレージなど周辺機器の異常という線はほぼ消えたと言っていいのですが、このことが、さらに厄介なことになったことを示しています。
(4)マザーボード、CPU、メモリの確認
残るはマザーボード、CPU、メモリということになり、ここから先の原因調査は非常に厄介です。
予備のマザーボードがあれば、CPUやメモリの動作確認はでき、予備のCPU,メモリがあればマザーボードの動作確認ができるのでしょうが、そんなものはありません。さて、どうしましょうか・・・。
とりあえず、マザーボードだけでも同型の新品に買い替えようかと思いつつあった矢先のことでした。
4. 一時的回復と再発
さて、この先どうしようかと、途方に暮れながら、マザーボードの「POWER SW」ピン(2本)をマイナスドライバでショートさせることを繰り返していたところ、なぜか突然、電源が入るようになりました。何が、どうなっているのか、もうよくわかりません・・・。
それから、電源ON/OFFを何度か繰り返してみましたが、普通に起動できるようになっていました。そこで、ストレージ、ディスプレイを接続し、PCケースの電源スイッチにつながるコネクタをマザーボードに接続し、電源スイッチON。普通に、起動できました。
BIOSで確認したところ、CPU、メモリも正しく認識されており、異常は無さそうです。これにより、通電さえすれば、CPUとメモリは正しく動作するってことがわかりました。
原因はわからないままでしたが、正常に電源ON/OFFできるようになったことで、ひと安心し、いったん電源をOFFにして、6時間ほど放置しました。そして、PCケースの電源スイッチを再び押します・・・。またもや電源が入らない・・・。やはり、なにかがおかしいようです。
ただ、先ほどの一時的な回復から、CPU,メモリには問題は無く、
問題があるとすればマザーボードにあることがわかっただけでも収穫だったと思います。再発したことはショックでしたが、再度、各パーツを組みなおし、再びPCケースの電源スイッチを押します。すると、PCの電源が入りました・・・。
ほんとに、よくわかりません。その後、何度となく電源ON/OFFを繰り返すも問題はありません。そのまま電源OFFにして、その日は就寝しました。
翌日、再び電源スイッチを押します。普通にPCが起動し、Windowsも起動できました。
5. マザーボード(ASRock B450 Pro4)への再発防止策
PCの電源が入らなくなった具体的な原因については、つかみ切れていませんが、ほぼマザーボード(ASRock B450 Pro4)に原因があると言えそうです。
そこで、マザーボードに対して、できうる限り再発防止につながるような以下2つの対策を行ったうえで、様子を見ていこうということにしました。もちろん、定期的にPCの掃除を行って、PC内部の空気の循環を乱さないようにすることも再発防止策のひとつになります。
(1)CMOSクリア
(2)BIOSアップデート
(1)CMOSクリア
CMOSクリアとは、BIOS設定の初期化のことです。CMOSクリアを行うことにより、BIOSの設定を完全にリセットするため、一部のBIOSに関するトラブルを解消できる可能性があります。
手順としては、以下に示すような感じで行います。他にもマザーボードのジャンパスイッチを使う方法などもあるようですが、この方法のほうが手っ取り早いと思います。
①PC電源OFFの状態で、マザーボードに付いているボタン電池(CR2032)を外して、しばらく放置する
②ボタン電池を抜いた状態で、PC電源ONの状態にし、PCケースの電源スイッチを何度か押して放電させる
③PC電源OFFの状態にして、マザーボードにボタン電池を取り付ける
④PC電源ONの状態にして、PCケースの電源スイッチを押して起動する
⑤BIOSの設定画面に入り、BIOSの再設定/保存を行う
(2)BIOSアップデート
トラブル発生時、
マザーボード(ASRock B450 Pro4)のBIOSのバージョンは、
P3.20(2019/5/15)でした。
システム運行が良い場合は、BIOSのアップデートを推奨されていないようですが、現状、システム運行が良いとは言えないため、仕方ありません。最新バージョンであるP5.00(2021/5/20)へ、思い切ってアップデートしました。どうやら、これにより、Ryzen5000シリーズにも対応できるようになったようです。
ASRock B450 Pro4のBIOSアップデート手順等については、以下の記事をご覧ください。
バージョンP3.20からP5.00へのBIOSアップデートは無事に成功し、トラブル発生から2週間たった現在では、特に問題もなくPCの電源ON/OFFができるようになっています。これにより、ほんとうに完治したかどうかはわからないのですが、もし今後、再発するようであれば、マザーボードを買い換えようと思っています。
様子見から3週間後、残念ながら再発してしまいました。
これは、もうダメだろうと判断し、マザーボードを買い換えることにしました。交換前のATXマザーボード「B450-Pro4」とほぼ同機能でありながら、同マザーボードよりも価格が安かったこともあって、同じASRockの「B450M-Pro4」というM-ATXマザーボードを選びました。
マザーボード交換後は、電源が入らなくなるということはなくなり、順調に稼働を続けています。やはり、マザーボードの故障だったのでしょうか? わかりません。。。
マザーボードを交換して、しばらくはそのまま使っていたのですが、やはりほんとに故障しているのか疑わしく、納得できなかったため、再度マザーボードを元に(B450-Pro4)戻して、念のため
CMOS電池(CR2032)を新品に取り換えてPCを起動させました。
すると、ふつうに起動して、その後も電源が入らなくなるということは無くなりました。2024年の現在もそのままも使い続けていますから、これが原因だったと断言できると思います。
たったの2年でCMOS電池がヘタるってことは考えにくいのですが、
CMOS電池の交換で、トラブル解消につながる可能性はおおいにありそうです。
購入したM-ATXマザーボード(B450M-Pro4)が無駄になってしまいましたが、とりあえず、予備として保管しておくことにします。いずれ、使うことになるかもしれませんし。
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